階段をおりて、金彩のカップ

階段をおりて、ごきげんようと言いたくて。

階段をおりる④10月上旬11:20

暑いんだか涼しいんだか分からない服装で帰宅。



「お久し振りですねえ」
「いいえ、わたし先週は2回も来たの」
「そうでしたか。今日はいいお天気でよかったですね」
「本当に」




お出迎えは藤堂さん。台風翌日以来のご担当。
1週間は久し振りなのだろうか…いや、確かに1週間も家に帰らなかったら放蕩娘よね。久し振り、だわ。

側でにっこり笑っているのは、先回チェックをお願いした川鳥さん。笑顔が可愛い、落ち着いた声の若いフットマンさん。

とても丁寧でゆったりしたお給仕だった。
お席が中央の棚の近くで、目の届きにくいところだったかもしれない。使用人の通り過ぎるのを見ながら、なかなか来てもらえないのが少し寂しかった。(ベル鳴らせって話ですね)

カップは、服とは違う色のセレクトで、でもとても気に入った。イングリッシュチンツ。思わず声が漏れるくらい可愛らしかった。
ロイヤルアルバートカップは、花のようなシェイプが素敵。持ち手が小さくて、マナーどおり"つまんで"持つことができる。

川鳥さんはミルクティー推し。そしてミルクを一滴も使わないわたし。マニュアル通りの紅茶の説明をされるより、「私はこれが好きです」とご紹介いただくほうが嬉しい。



ぼうっとしながら、あ、あの"お嬢様"この間もいた、なんて思って、それに気付くわたしも先週いたわ、なんて、少し呆れて。

途中、お皿を替えていただいた環さんに



YouTubeでパスタ召し上がってる方ですよね」



と話しかけたら、



「なかなかご帰宅の叶わないお嬢様に向けて、お料理のお味を紹介しております。
 ご覧いただいたとおり、トン・チン・カンで(おそらくお三方のこと)やっております」



と、お茶目にお返事いただく。

百合野さん、わたしは行くたびにお見かけするのだけれど、一度もお話したことはない。彼が動くと多くの"お嬢様"が視線で追う。わたしにもそんな推しが見つかるのだろうか。



汐見さんにお茶をお願いしたとき、声をかけたら、少し答えに窮したようだった。申し訳ない。

影山さんは茶漉しを用いずに(!)金萱を注ごうとして、直前で気付き



「おっと!
 危ない、これはトラップですね…(茶漉しが)こんな離れたところに!」



と。こんな優しく笑う方だとは。大人しい方だとばかり。

だんだんお顔とお名前が一致するようになってきたし、この日はお茶の濃さも香りもよかったし(伊織さんすごい)、いろんな方にたくさんお話いただいたのに、なんだかほんの少し物足りなかった。

回数を重ねると、よかったときのお給仕と比べてしまっていけない。


でも、満足しきったらつまらないもの。

午後の空席を予約しようかという思いが逡巡したけれど、物足りなさで次回の楽しみが増えたと思うことにして、きっぱり来た道を帰る。



……帰り道、お屋敷方面へ向かう、私服のフットマンと目が合ってしまった。外でも綺麗になさっているのね。

いってらっしゃい!





ドアマン:香川さん
執事:藤堂さん
フットマン:川鳥さん
お世話いただいた方:環さん、汐見さん、影山さん(他お名前不明)
お見かけした方:嘉島さん、浅葱さん(たぶん)、百合野さん、時任さん(他お名前不明)
お食事:アンナマリア(キッシュ)
紅茶:菲藍、金萱
   (紅茶係:伊織さん)
カップ:ロイヤルアルバート イングリッシュチンツ、ムーンライトローズ エイボン