階段をおりて、金彩のカップ

階段をおりて、ごきげんようと言いたくて。

階段をおりる㉖2月中旬13:20

エルグレコの澱を見つめて。



1週間以上振りの帰宅。

担当フットマンはまた百合野さんで、「最近ご縁がありますね」と笑う。
今年に入ってから、おじいちゃまたちに全然会えなくて、この日もフロアにいた執事は時任さんと司馬さん。お体壊してなければいいけれど。

今回は、初めて帰宅したときに着た、ジャガードワンピースに袖を通した。9月から着ていなかったの、とてもお気に入り。

あの日と比べると、サロンにもすっかり慣れた。
飲食店に、月5回だなんて驚くほどのペースで通っているのだもの。



「紅茶係は杉村で、おすすめはアスカコートノーブルとエルグレコです」



と案内されて、「藤原さんね」と思わず笑ってしまった。百合野さんは眉を下げて笑って、



「もう飲めなくなってしまいますので」



と。
茶葉は家にもあるけれど、あまり美味しく淹れられずにいる。ここで美味しくいただけるのも、あと僅か、と思い、少し離れたところでお給仕する藤原さんを見ながらオーダーを決めた。



食事は初めてボロネーズに。
藤堂さんが"お嬢様"たちに「お屋敷のボロネーズは美味しいからねぇ」と笑いかけるのをよく見るので楽しみにしていた。

さすが、キングリアと並ぶテッパンメニューだわ……ソースのコクと、満足感がすごい。

そして驚きなのが、このボリューミーでアタックの強いソースを、花の香りのエルグレコが受け止めて負けない、ということ!!
この組合せを発見したのは本当に嬉しい。本邸でエルグレコが飲めるうちに、また頼むことにする。



ハイライト
瑞沢さんと環さんがお茶を注ぎにきてくれた。
環さんはすごーく控えめな音量でお話になる。喉でも痛いのかと思うくらい。

綾瀬さんはお化粧室帰りにエスコートしてくださったのだけど、前回初めて担当いただいたのに、「メアリさま」と名前を呼んでくれたのに感動した。



百合野さんは距離感がカジュアルで話しやすくて、楽しく過ごせるのだけれど。
やっぱりあの子がいいな……。



藤原さんとはお話できなくて、カップに少し残ったエルグレコの柔らかい水色と、細かな澱を見つめていた。

出立のとき、「いってらっしゃいませ」と藤原さんに声をかけていただけた。
目を合わせて、いってきます、と小さく答えると、更に「ありがとうございます」とあの素敵な声で。



藤原さんに会えるかな、と、わくわくして本邸へ向かう日はもう訪れないけれど、この寂しさを埋められるくらいの楽しみに、また出会えるといいな。





ドアマン:金澤さん
執事:時任さん→乾さん
フットマン:百合野さん
お世話いただいた方:綾瀬さん、環さん、瑞沢さん、ギフトショップで的場さん
お見かけした方:司馬さん、隈川さん、緑川さん、浅葱さん、綾瀬さん、桐島さん、古谷さん、たぶん羽瀬さん、黒崎さん(後半)、藤原さん!!!、他もう一人お名前不明、ギフトショップで相良さん
お食事:ダ・ヴィンチ(ボロネーズ/美味しすぎる)
紅茶:エルグレコ
  (紅茶係:杉村さん)
カップウェッジウッド フロレンティーンゴールド