階段をおりて、金彩のカップ

階段をおりて、ごきげんようと言いたくて。

階段をおりる⑱12月中旬16:30

ドアマンの桐島さんに、下のお名前は、と聞かれて驚いた。
他にも同じ名字の方がいたのかしら、それとも、(先般登録した)下の名前を告げてよかったのかしら。


ヒーターの前で少し待って、ご案内いただく。
ドアが開く前から、シルエットで吉川さんだと分かった。



担当は、見慣れた杉村さん。初めてのご担当だけれど、何度かお世話していただいてるから、そんな気がしない。
案内も、もちろんとってもスムーズ。八幡さんに似た、落ち着いたお給仕だった。



甘いものを食べ続ける自信はないけれど、もうプティデザート2巡したし、とってもお腹が空いてるわけじゃないし…と杉村さんに相談して、初めてデザートプレートに。
クリスマスリースは、わたしも「これならいけるかな」と思っていた。フレッシュな苺を使っているから、そこまで重くないと。



お茶が来てから幾分か待って、白いプレートが運ばれてきた。



「お待たせいたしました。
 パティシエがお嬢様のために盛り付けを工夫いたしました」
「わあ、かわいい!」



お皿の上の、美しいこと!
生の苺が贅沢に盛られて、プレーンとココアのスポンジのラフなショートケーキ。
さっぱりするグラニテは、特に味が良かった。



別テーブルの"お嬢様"のお喋りが賑やかだったけれど、疲れていたのもあってゆっくり過ごせた。



しかし、おいしいけど、あまあまあま……

"お嬢様"方は、こんな甘いものばかり食べてよく平気ね。

杉村さんに、「しょっぱいものたべたい」とリクエスト。しょっぱいものを、持ってきていただいた。







「そんなセットあったかな、と思いました」



クラムチャウダーとルビーチョコレートのグラスが並ぶテーブルを見て、日比野さんが話しかけてくれた。本当に癒される。彼は、お喋りしてると、ときどき笑って白目剥くのよね。

吉川さんと佐々木さんは本当に働き者。
お花摘み中の"お嬢様"のナプキンをさっと整えたり、出立されたあとのテーブルを片付けたり。
佐々木さん、あまり堂々とした振る舞いをするタイプではなさそうだけれど、一度お話してみたい。



帰る間際、黒崎さんにお化粧室へ連れて行ってもらったのだけれど、ドアの前で振り返ってガン見された。



「(じーーっ)」ガチャッ
「?」パタン
「(じーっ)
 いつもお見かけするお嬢様と比べて、あれですね」
「(初めて話しかけられた…)どれでしょう」
「フォーマルなのが、こすぷれっぽい」
「! …え、ほめてないよね、それ」
「私は好きですよ」
「そう、ありがとう」



この日はスーツだったの。
これまでも何度かお世話していただいたけれど、だいたい素っ気なくて、なんなら嫌われていると思っていたので、認知されていたことに驚き。

ファンの多そうな使用人は、確かにそれだけの理由がある。
わたしは、黒崎さんの唇の赤いのが、単純にうらやましい。



「お嬢様、このあとは、ごゆっくり?」
「ゆっくり別宅へ戻ります。グリーン車で」
「緑色の馬車、でございますね!」
(グリーン車ぜんぜん緑じゃない)



杉村さんは"お嬢様"を寂しくさせない、気のつく素晴らしいお給仕でした。
寂しくさせないって大きなポイントだと思うの。日比野さんも百合野さんもそう、隠岐さんもそうだった。見た目が隠岐さんみたいなタイプの方はいないから、辞められたのが本当に残念。

放置気味なのはちょっと苦手。特に、遅番で放置されたら寂しすぎる。見知ったフットマンが少なくて。遅番のときはいつも、ほんの少しひやひやしながら帰宅しています。

次の帰宅が年内最後。





ドアマン:桐島さん
執事:吉川さん
フットマン:杉村さん
お世話いただいた方:黒崎さん、日比野さん!
お見かけした方:乾さん、水瀬さん?、大河内さん、緑川さん、佐々木さん、洲崎さん、(たぶん)羽瀬さん
お食事:クリスマスリース、ボストンクラムチャウダー(しょっぱいものないと無理だった…)
お茶:四季春
   (紅茶係:平山さん)
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