階段をおりて、金彩のカップ

階段をおりて、ごきげんようと言いたくて。

階段をおりる⑤10月中旬15:40

仕事の用事終わりに、くたくたで帰宅。
荷物も多い上に、顔が死んでて申し訳なかった。



ブルーの、オイルランプの灯ったテーブル。当日席で。
2人席に座るのは初めてだった。テーブル席は落ち着かないものだ。しかし、呼んだらすぐ気付いて来てくれるのはとてもいい。



今回の担当は乾さんと緑川さん。先回、緑川さんは隣の卓でお給仕していらして、わたしのお世話もしていただいた。いかにも若く、学生と言っても遜色ないようなフットマン。リボンではなく、白いタイがすっきりとしている。

緑川さんは声が高めながら落ち着いていて、出てくる言葉がまあ素晴らしい。



「ベルを鳴らすために手を伸ばされるのであれば、私はその手を、たとえば詩を書くためや、紅茶を飲むために使っていただきたいのです」



目の行き届いたお給仕と、さりげないお声がけで、だんだんと気持ちがゆるんでいく。

緑川さんいわく「お姫様のようなカップ」を出していただいたけれど、残念ながらこれはあんまり好みではなかった。ロイヤルアルバート
この日は無地の服だったので、テーブルが華やいだのはよかったけれど、小花柄は基本的にあまり好きではない。

アンナマリアのサンドイッチは、9月のよりこちらのほうが好み。ただ、ハムとポテトサラダのサンドイッチが厚くて食べにくかった。フィンガーサンドイッチだけれど、ナイフとフォークを使えばよかったと、かじったあとに後悔。

疲れていたからか、紅茶も薄く感じられて、せっかく急いできたのに、あまり満足できない滞在だった。次はゆっくり来よう。



乾さんの、笑うと皺の寄る目尻がパパに似ていた。



「でーは、お嬢様。
 できるだけお早めに、お帰りくださいね?」



玄関の前で、改まったように振り返り、小首を傾げて。わたしの返事に、またにーっこりして。

こんな恭しくお見送りをされたのは初めて。

……なかなか帰宅できなくなるの、とは言えなかった。



ごきげんよう



この日のごきげんようは、寂しさを滲ませて。





ドアマン:藤原さん(だと思う!眼鏡の色白のふっくらした方!)
執事:乾さん
フットマン:緑川さん
お世話いただいた方:水瀬さん、他お名前不明
お見かけした方:金木さん、風祭さん、大河内さん、古谷さん、他お名前不明
お食事:アンナマリア(サンドイッチ)
紅茶:菲藍
   (紅茶係:御茶ノ水さん)
カップ:ロイヤルアルバート リージェンシーブルー