階段をおりて、金彩のカップ

階段をおりて、ごきげんようと言いたくて。

階段をおりる⑥10月下旬12:10

ドアマンは、いつだかもいらした、あまり愛想のない綺麗なお兄さん。

先に到着なさっていた"お嬢様"が通されると、奥から藤堂さんの声が聞こえた。お元気そうでなにより。お屋敷で見かけると嬉しいものね。

今回の担当はこっそりお気に入りの嘉島さんきたー!目の保養!!
おじいちゃんは多少天然(?)空気読めない(?)くらいが丁度いいよね。

担当はデビューしたての日比野さん。清潔感のある綺麗なお兄さん。



また若いひとか……と思ったのだけど!!!
丁寧さも、間のとり方も大好きな感じでした。
大当たり!


カップの選択以外は!!!笑

このカップだけはない!!と思っていた柄なのだけれど、わたしの健康を祈って選んでいただいたとのことで、ありがたく。



「日比野さん、特技はなんですか?」
「以前はサーカス団におりまして、道化師をしておりました」



意表を突かれた。

ピエロ…だと……?

この真面目そうなお兄さんが……??



「それゆえ手品を得意としておりますが、お嬢様にお見せするには、腕を磨かなければと」
「では、お水をワインに変えていただくのを楽しみにしていますね」



接客業は慣れていらっしゃるなと感じた。お金の受け渡しも食器の扱いも綺麗。

初めてパスタをいただいたけれど、麺がもちもちもちもち…生パスタとは予想外。本当に美味しかった。
おすすめいただいたクリームパスタはシチューのよう。コクがあって美味。黒胡椒がかかっていたらもっとよかったけれど、蓮根チップスのアクセントもありグッドです!

席は中央の棚の近く。
ナプキンを置くところから、メニューの説明から、水を注ぐのから、みんな百合野さんが棚のすぐ側に控えて、様子を窺ってらしたので気になった。
途中こっそり聞いてみることに。



「百合野さんは『先生』なの?」
「はい、教育係として、指導を受けております」



震えるほど緊張しております、と、苦笑いしていたけれど、目の行き届いたお世話をしていただいた。

このあたりは席の視認性が悪いので、両隣の"お嬢様"はベルに気付いてもらえないことが何度か見受けられたのだけれど、わたしは全くそんなことはなかった。

特に、初めのうちはわたしの卓1つだけを担当いただいていたので、たくさんお喋りしてくださった。
逆に『こんなにお喋りしてくれていいの!?』と思うくらい、言葉を端々まで拾ってくださって嬉しかった。



そしてそして、フォローに百合野さんが付いてらしたから、実質フットマンおふたりに担当いただいて、なんて贅沢…って感じ。

百合野さんは、紅茶を注ぎに来てくださったとき、初めてお話しした。



「日比野はいかがでございますか?」
「正直申し上げて、今までで一番いいお給仕だと思います」
「失礼がないようであればよかったです。本人にも伝えてやってくださいませ。
 これから日比野も担当の卓が2卓になりまして、本人もバタバタとしてくるかと存じます」



そう、先程から日比野さんは、他のテーブルに新たにお迎えした"お嬢様"たちのお世話をなさっていた。



「ええ、頑張れ!って思いながら見ています」
「親心のように感じてしまいますよね!
 目が届かないこともあるかと存じますので、本日は私のこともお嬢様の担当と思って、いつでもお呼びくださいませ」



なんて模範的なフットマン…………そりゃあファンも多いことね。感動した。思わず、ラペルに輝くストーンに目が行く。
……ファンになったら負けのような気がするから踏ん張る。



近くの卓の隈川さんは、目が合うとリラックマみたいに可愛く笑ってくださって、
百合野さんの安心感に感動して、
何より日比野さんのあたたかく一生懸命な(そして不足のない)お給仕が嬉しくて、
今回は間違いなく今までで一番楽しい帰宅でした。

字にすると軽薄な感じだけれど、本当にラッキー!




 
ドアマン:お名前不明
執事:嘉島さん
フットマン:日比野さん
お世話いただいた方:百合野さん(他おひとり、お名前不明)
お見かけした方:藤堂さん、香川さん、隈川さん、能見さん、緑川さん、風祭さん(他お名前不明)
お食事:ダ・ヴィンチ(チキンとかぼちゃ)
紅茶:ヴァサンティ
   (紅茶係:御茶ノ水さん)
カップリチャードジノリ ビーホワイト